技術系公務員(土木)を1年前に退職しました

はじめに

いわゆる退職エントリというやつです。(今更)

ネットには↓のような能力が高い人の退職エントリが溢れていますが、私のような能力が低い人間のネガティブな理由のものは少なそうので、そういった方の参考になればと思います。

https://gold-kou.hatenablog.com/entry/career/ntt

(あくまで、一個人の経験に基づいたものです。すべての公務員がこうだというわけではありません。)

 

プロフィール、なんで公務員?

高専の土木系学科(5年間)から都内の国立大学の土木系学部(2年間)を卒業し、地元の人口5万人前後の地方自治体(市役所)に技術系公務員(土木)として就職しました。計7年間土木を学んできましたが、学問としての興味・関心は全く無く、ただ惰性的に学んでいたというだけです。幸い記憶力だけは良かったので、テストの点だけは良かったですが、本質的なことが何もわかっていない感じが辛かった。

 

公務員を志望した理由としては、

・どちらかといえば学力重視、公務員試験も問題の傾向はほぼ決まっているし、暗記で行けそう(逆に民間企業は人物重視と聞いていたので、中身が空っぽな自分では受からないと思っていた)

・圧倒的に「安定」が欲しかった

・民間企業とは違ってノルマとか無さそうだし、のんびりしてそう

・定時で帰れそう、残業代出そう

・工事を発注する側なので設計や測量もしなくて良さそう

という、表面的なイメージだけでや思い込みだけです。逆に民間企業は1社も受けませんでした。

実際は、ノルマあり、長時間残業、業者に委託するお金もないので測量も製図も設計も全部自前という

私にとっては非常に辛い環境でした。

公務員の良いところ

退職理由だけ書くと前職に対して批判的な意見だけになってしまうので、良いところを先に書こうと思います。

 

i. 公共工事の計画・測量・設計・監督の一連の流れをすべて自分が担当できる

これは、小規模自治体かつ技術系公務員特有ですが、基本的に市単独の工事(国から補助金をもらっていないもの)に関しては、業者等には委託せず、計画・測量・図面の作成・工事金額の算定(積算)をすべて自分で行います。(例外として、市民の土地を寄付していただく、市で買い取り道路にする等の場合は、土地境界の測量や法務局へ提出する図面の作成を依頼する)そのため、工事の計画~完成まですべての工程に携わりたい!というやる気のある人・土木が大好きな人には非常に良いのではないでしょうか。(あくまで私がいた自治体の話です。)

就活時にはこれを土木系公務員を志望する理由にしていた人も多かったです。

 

ii.安定している

志望理由の「安定」だけは確かにあっていると思います。どんなに怠けている人、仕事ができない人でも、年齢に応じて給料が上がります。また、よっぽど何か不正をしない限りは解雇されることはありません。メンタル関係の病気になっても休職できますし、その間も給料は出ます。(民間の大企業でも同じだとは思いますが。)住宅手当もかなりの金額が出ます。(最高24,500

 

退職理由

i.残業が多い、休日出勤あり

公務員は定員が決まっています。私のいた係は7人で市全体の道路工事を担当していました(内技術職4人・事務職3人)。その中で、先輩方は国庫補助(国から補助金をもらい行う工事)等の大規模な工事を担当するため、私のような年齢が若い職員が中小規模の工事を受け持つことが多いのですが、やはり1人あたりの担当件数が多いです。そのすべてを測量して、図面書いてなんてやってると、当然定時内に終わるわけもなく、定時内で測量して17時からデータ整理、図面作成ということも多かったです。また、発注時期も決められていたため、間に合わないときは休日に出勤して図面を書いたりしていました。(もちろん無給です。)測量の予定がないときでも、市民からの苦情電話の対応、窓口対応なんかも若手の仕事ですので、なかなかまとまった時間が取れないんですよね。

良いところのi.に書いた「公共工事の計画・測量・設計・監督の一連の流れをすべて自分が担当できる」は、裏を返せば「1件に工事にそれだけ労力・時間を要する」ということです。土木が好きな人は「これだけ自分が労力を費やした現場が完成すると感動する・このために頑張れる」らしいのですが、私は土木が好きでもなく、現場が完成しても「やっと終わった~辛かった」という思いのほうが強く、只々辛かったですね。

 

ii.先の見えた人生

事務系の公務員だと23年で定期的に部署異動があるため、今の部署の仕事や人間関係が嫌でも数年間我慢すれば良いですが、技術系だと異動できる部署が限られるため、異動しても同じような仕事内容、同じようなメンバーになってしまいます。この「先の見えてる感」がすごい嫌でした。「10年後も同じメンバーで同じ土木の仕事してるんだろうなぁ」みたいな。(私のいた自治体では、技術系の新規採用は3年間で1人採用するかどうか程度なので、新たなメンバーも入って来ないのです。)「土木分野に興味の無い(むしろ嫌い)な自分が今後何十年間も同じ仕事を続けられ無いだろうなぁ」という気持ちが、常に心の片隅にありましたね。

 

iii.体力的にきつい

測量のため現場に出るのですが、もともと体力のない私には、暑い中・寒い中での作業がかなりきつかったです。(甘えてると言われればそれまでの理由ですが)真夏や真冬に側溝の高さ、道路の長さを測るのもかなりきついですが、中でも真冬に胴長を履いて、山の中の急流を測量したのは本当に辛かったです。臭いドブ川の測量をして携帯を落としたこともありました。(これは私の不注意ですが。)

また、雪国特有で真冬の塩カル散布も辛かったです。道路が凍りつくと、朝5時頃から塩カル散布車(下の画像のようなやつ)に乗って、塩カルを道路に散布するんです(散布し終わったら通常通り出勤)。通常、冬になり仕事が減った建設業者へ委託することがほとんどですが、お金のない自治体はこんなことまで職員がやるんだなぁと思いました。

 

iv.労働組合・飲み会

 

労働組合

私が働いていた自治体は、労働組合への加入が必須でした(加入率100%。入職した4月には当然のように加入申込書を渡されました。しらばっくれて提出しなかったら、後日個室に呼ばれて、書かされました(笑)。加入すると、毎月少なくない額が組合費として給料から天引きされます。それが労働環境の改善等に使用されていれば良いのですが、飲み会や政治活動的なものに使われているのが納得行かないんですよね。

また、若手は51日に有給を取得してメーデーに強制参加させられます。皆で列になって行進しながら「憲法9条反対!!!」「沖縄が云々・・・」とかを叫ばされるんですよ。また、9月頃には平和の火リレーというのもあって、これもまた、若手は有給をとって強制参加なんですよね。聖火リレーみたいな感じで、火を持ちながら「核廃絶のために云々・・」とか言ってる街宣車の前を走るんです。車道を走るのですごい注目度で、とても恥ずかしかったのを覚えています。加入したことをとても後悔しましたが、今更脱退もできず、絶望しました。

 

飲み会

就活時は、「公務員だと飲み会は少ないだろ」と思っていましたが、飲み会はかなり多いです。課・係の歓送迎会、BBQ、暑気払い、課内旅行、忘年会等など。「参加しなければ良いじゃん」と思われるかもしれませんが、上司は「若手が来ないなんてありえない」といった古風な方々なので断れないんですよね。特に技術系公務員の方々は、この傾向が顕著です。飲み会が好きな人には良いでしょうが、上司が他の人に説教するのを聞きながら飲む酒は最悪ですし、お金がすごい飛んでいきます。毎回の会費(50006000円)に加えて、課会費として月に1500円程度徴収されます。それプラス2次会となるとかなりの出費です。しかも一発芸を強要があるんです。この一発芸のために飲み会の前は毎日昼休みや業後に集まって打ち合わせして、練習してとかやってました。やりたい人だけやる分には良いですが、強要は完全にパワハラですよね。この一発芸のおかげで一時期は本当に鬱になりかけてました。

 

以上の4つが退職理由です。完全な逃げ・ネガティブな理由での退職ですね。人によっては「考えが甘い」、「根性がない」と思われてしましそうです。

 

公務員てどうなん?

公務員は思った以上に向き・不向きがある職業だと思います。

「市民のために貢献したい!!!」みたいな人のために何かをやるのが好きな人

仕事や職場を「お金を稼ぐための手段」として割り切って、与えられた仕事のみをするという人

には非常に向いていると思います。

また、技術系公務員としては、

・自分が今学んでいる、専門としている分野が好きな人(就活時には「発注者側だから技術に詳しくなくても良いだろ」と思っていましたが、発注者側も相応の知識を求められる場面が多々ありました。)

・0から1を生み出すのが好きな人(1から何か作ることが苦手な自分にとっては、技術系の仕事は本当に地獄でした。)

単に私が公務員・技術系の仕事に向いていなかっただけの話ですね。

 

今はどこで働いているの?

今は都内国立大学で事務職員として働いています。残業もほどほどですし、残業した分は必ず出るようになりました。年休も取りやすいですし、本当に転職して良かったと思っています。

今後も、公務員としての経験や、無能で取り柄がない自分の転職活動についても記事をかけたらと思っていますのでそちらもぜひ見てください!